役所広司・最強説
『すばらしき世界』を観て、役所広司さんの凄さを再認識した。
どこからどう見ても、短気で一本気な五十路の前科者だったからだ。
役の幅が広い、否、広すぎる。
初めて役所さんを認識したのは『Shall we ダンス?』。
シャイで真面目な中年サラリーマンに胸が熱くなった。
その後、ビデオで『シャブ極道』を観て、テレビの前で度肝を抜かれた。
あのサラリーマンとは似ても似つかぬ、クレイジーかつバイオレンスなジャンキーだったからだ。
『THE 有頂天ホテル』のどこかズレた真面目なホテルマン、『渇き。』のろくでもない父親、『日本のいちばん長い日』の重厚な陸軍大臣も印象深い。
西川美和監督は自著の中で「カメレオン俳優という表現とはまた違う、役そのものの人生を生きてきた感じ」というような言い回しをしていた(内容はうろ覚え)。
まさにそう、その役そのもの。
『すばらしき人生』では、私の地元である福岡に昔よくいた、ヤクザなおじさん(でも憎めない人)そのものだった。
『峠 最後のサムライ』も観に行かなくてはならない。
どんな侍ぶりを見せてもらえるのか、今からとても楽しみだ。