粉砕者の日記

昔ながらの観光地、プロレス、寄席、映画、職人芸、人間の業、怪しいモノに目がない団塊ジュニアの日記

【ユタと不思議な仲間たち】DNAを刺激する南部弁ミュージカル

浜松町にある自由劇場へ。

昔からの念願だった『ユタと不思議な仲間たち』をついに観劇しました。

私の四季マイベストは『夢から醒めた夢』なのですが、四季好きの同僚から「であれば、ユタは必ず観るべき!」と強く進言されておりまして。
とはいえ、九州にはなかなか来てもらえず。
唯一となるキャナルシティ公演の際は、大阪で働いていたので観に帰れませんでした(というか、その時はユタのことを認識しておらず)。
同僚から進言されたのが10年以上前なので、本当にようやく…ようやく!という気持ちなのです。

作品を語る前に…自由劇場は素晴らしい!
劇場としてのクオリティの高さに驚きました。
500人ぐらいのキャパ、どこからでも舞台が見える作り、役者の息遣いも聴こえてきそうな近さ、それでいて高級感あり。最高です。
この劇場自体にハマりそうな予感です。


さて、本題。
いやはや、久しぶりに号泣。
途中、本気で震えながら涙しました。

ストーリーは至ってシンプル。

主人公は、父の死により東京から東北の山村に転校してきた少年。
勉強は得意だが運動は苦手、色白で標準語。
地元の子どもたちに受け入れてもらえず、もやしっ子と囃され、毎日いじめられている。
落ち込み、生きる気力を失っているところに、座敷わらしと呼ばれる5人の精霊と出会う。
それぞれが、大昔の飢饉で間引きされたり、捨てられたり、餓死した子どもたち。
寂しい思いをしている主人公を見かねて、自分たちが友だちになってやると言う。
座敷わらしたちの励ましと協力で、村の子どもたちから少しずつ認められていく主人公。
村にようやく馴染めた時、座敷わらしたちから急に別れを告げられる…。

何しろ、ホームページであらすじを読んだ時から、すでに目頭が熱くなっていましたから。
案の定、舞台が始まってすぐ、ポロポロポロポロと涙がこぼれました。

感情が爆発したのは、山頂に飛んでいくシーン。
この劇の見せ場となるワイヤーアクション。
曲は「風の口笛〜♩さわ〜やかに〜♩」のところ。
泣けるシーンではないのですが、子どもならではの想像力というかファンタジー性というか。
バーンと抜けるようなスケール感と相まって、わけもわからず、ぶわっと涙が吹き出ました。
そこからはラストまで、壊れた蛇口みたいに涙が流れ続けましたよ。

改めて、ストーリーはシンプルなんです。
歌とアクションは途方もなく凄いけど、他の四季作品と比べるとスケールは小さめかも。
(ちなみに今回は浅利演出事務所の主催ですが)
では、なぜここまで感動したかといえば、たぶん日本人としての原風景を感じたからだと思うのです。

南部弁、山村、四季折々の風景。
遊びに夢中で帰宅を忘れてしまう子どもたち。
できあがった輪の中に入っていく難しさ。
友として受け入れられた喜び。
思いやりの素晴らしさ。
みんなで生きていくということ。

生まれた時から心のDNAに刻まれたテーマです。
とはいえ、決して道徳的な潔癖さはなく。
老若男女が楽しめるエンターテイメントでした。
うーむ、さすがは浅利慶太さん、痺れました。
『夢から醒めた夢』と同じく、これから折りにつけて観ていく作品になりそうです。


それにしても、座敷わらしの親分・ペドロが本当に素晴らしかったなあ…。
早々に2回目を観に行きたいです。

友だちはいいもんだ!

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