粉砕者の日記

昔ながらの観光地、プロレス、寄席、映画、職人芸、人間の業、怪しいモノに目がない団塊ジュニアの日記

【最後の決闘裁判】重くて暗い中世の男女ミステリー

早速、観てきました。
1300年代のフランスで実際におこなわれた「決闘裁判」を題材に作られたミステリー。
ネタバレを避けるため、極力、ストーリーを伏せて感想を。

上演時間は、何と2時間32分!
シン・エヴァと同じぐらいの長さです。
でも、全く長く感じず、終始ドキドキしっ放し。

物語の手法として、一つのエピソードをメインキャスト3人の目線で描いています。
不思議なことに、同じ内容であるはずなのに、セリフや表情が微妙に(あるいは大幅に)異なります。
これは、同じ情報だとしても、どういう心情で受け取るかによって、映像やストーリーまで大きく変化してしまうということ。
これが尋常じゃないほどスリリングでして。
それぞれの思惑に沿った映像ということで、何が真実なのかよく分からず、観る側を激しく混乱させるのです。

中盤までは、男たちの政治的な争いに共感しながら観ていましたが、終盤は重いシーンが続き目を背けたくなりました。
エピソードは全く同じはずなのに!

事実と現実は異なる。
現実は、受取り手の解釈が入るから。
結果、認識のズレが起こる。

学生や社会人を問わず、人間なら誰もが日常的に体感している、まさにミステリーです。
完全に理解することは不可能ですが、相手の立場を思いやることの重要性を痛感しました。
(この映画では、特に男性が強く身につまされると思います)

映画自体は暗くて重いです。
というか、全般的に天気が悪くて寒い。
何より、中世の宗教と裁判の取り合わせなので、人の心の奥底にある残忍さが垣間見えます。
騎士たちの戦闘シーンも壮絶かつ残酷。
女性同士の会話すら怖い。
そこに、名誉、欲、生き様が絡み合う形です。

俳優陣でいえば、マット・デイモンの武骨なマッチョぶりにビックリ!
ベン・アフレックも共演しているのですが、このふたりがこんな感じの役者になろうとは。
『グッド・ウィルハンティング』からは想像もできませんでした。

結論、さすがリドリー・スコット
最後までドキドキさせられました。
良い映画を観た!との感覚です。

ただ、どっと疲れましたね…。

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