粉砕者の日記

昔ながらの観光地、プロレス、寄席、映画、職人芸、人間の業、怪しいモノに目がない団塊ジュニアの日記

【庵野秀明展】奇才がどのように創られたのか

ようやく行きました!

久々の六本木でしたが、都会ぶりにビックリ。テレビで観る東京、という趣きでした。国立新美術館も相当にスタイリッシュ。照明が暗めで、館内に入った瞬間、眠くなりました。何にしても、よく行く浅草とは大きな違いです。

さて、私の年代にとって、庵野さんはど真ん中。

やたらと再放送される70年代特撮に影響を受け
マクロスのカッコよさに唸り
ナウシカに衝撃を受け
ナディアをNHKで観て
アニメを卒業後にエヴァと出逢ってまたハマり

思春期と庵野作品は見事にリンクするのです。学生の頃に「アニメが好き」なんて言った日には、蛇蝎のように気持ち悪がられたもの。アニメージュを立ち読みすることさえ憚られました。ジブリエヴァは、アニメ好きに市民権を与えてくれたとの点において、とても感謝しています。

さて、この企画展の中で私が最も刺さったのは、第一部「庵野秀明を作ったもの」です。その名の通り、庵野さんに影響を与えたものが、ズラリと展示されていました。

庵野さんのメカ好きが、お母さんの足踏みミシンと山口宇部の光景(埋立地&工場群)から来ていることに心震えて、ウルっとしました。私の家にも同じような足踏みミシンがあり、内職の縫い物のために母が毎晩遅くまで踏んでいて。埋立地に建てられた団地住まいだったこともあり、子どもの頃の光景がフラッシュバックしたのです。
そして、壁一面のテレビに映る、懐かしい特撮&アニメの数々たるや。フィクションをフィクションと認識せずに現実のものとして受け入れ、ヒーローたちの一挙手一投足に心躍らせていたことを、鮮やかに思い出しました。ドリルが付いた戦艦に興奮し、仮面ライダーの奥深さに大人の世界を垣間見て、ヤマトやガンダムで世の無常を分かったような気になって。私の精神も、この時代の作品たちに作られているんだな…と何やら共感のようなものが沸々と。
展示に、和田慎二作品があったことにも興奮。
スケバン刑事の原作マンガを描いた人です(展示は『超少女明日香』)。ああ、和田慎二先生も庵野さんの血肉になっていたのか、そりゃ庵野作品の女性に惹かれるはずだ…と謎解きされたような気持ちになりました。

第二部は、アマチュア時代からプロデビューした後の作品が深掘りされており。ここはミーハーになりましたね。巨神兵の絵コンテに興奮しない人はいないでしょう。宮崎さんの「早く描け!」という叱咤メモに、何やら天上世界を垣間見たような神々しさが。アニメ界のトキワ荘だったんだろうな…と。

ナディア、トップをねらえ!と続いてエヴァ
オープニング映像の絵コンテを見て、そのスタイリッシュさに衝撃を受けた日のことを思い出しました。世界観、ビジュアル、ストーリー。あらゆる意味で日本のコンテンツ業界においてエポックメイキングな作品だったと実感。絵コンテを含む裏側の制作物の数々は、日本の産業遺産として保存すべきと強く思いました。特に「まごころを君に」の人類補完計画発動の絵コンテは国宝指定されるべきではないかと。

エヴァの後に続く、実写を含む前衛的なチャレンジ(というか迷い)も心地よかったですね。安住を良しとしない創作意欲と、それに耐えられずに悲鳴を上げる心の葛藤がまざまざと見て取れて、時代を創る人の凄みを改めて。試行錯誤を経てからのシン・ゴジラ&シン・エヴァで、世の中のチャンネルとピタッと合ったカタルシス(というか、血の滲む努力で世の中に合わせたのだとも思いますが)。ヒットを目指す中にも、都度都度、感じさせる「こだわり」に心惹かれざるを得ません。ゴジラの第二形態とか、第3村の佇まいとか。

第三部では、公開を控えるシン・ウルトラマンやシン・仮面ライダーのチラ出しと、後進育成と業界貢献への取り組みを。多くの観客たちも、このあたりになると魂が抜けたようになっていました。それぐらい第一部&二部が濃かったので。
二時間たっぷり観たせいか私も疲労困憊で。
帰宅後すぐに寝落ちしてしまいました。

画像は展示のほんの一部。まだ観に行っていない人もいると思うので。この企画展は行った方がいいです。迷っている人はぜひ!

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