粉砕者の日記

昔ながらの観光地、プロレス、寄席、映画、職人芸、人間の業、怪しいモノに目がない団塊ジュニアの日記

【サバカン】竹原ピストル&尾野真知子だけでも一見の価値あり

少し前に観に行きました。
いやあ、本当に良い映画でしたー。
あまりまとまっていませんが、取り急ぎ感想を。

舞台は80年代の長崎県長与町
小学生2人の「忘れられない夏休み」を描いた、まさに和製スタンド・バイ・ミーです。
何しろ、主人公は自身と同世代。
共感できるシーンが山ほどあり、何度となく目頭が熱くなりました。

作品を貫くキーワードは「またね」。
お互いをニックネームで呼ぶ瞬間、そして「じゃあね」ではなく「またね」に変わる瞬間。
何だか、胸の奥がムズムズするような、そんな甘酸っぱい気持ちを思い出しました。

でも、男の子同士の楽しい夏休みだけではなく。
貧しさだったり差別だったり、地方ならではの重めのテーマが、声高に主張されることなく、ひっそりと描かれています。

映画のレビューに「この時期はバブルだから、こんなに貧しいわけはない」なんて書いていた人がいましたけど…地方を舐めるなと言いたい。
この作品での描かれ方はまだオブラートに包まれているほうで、実際はもっとハードコアに貧しい子どもがたくさんいました。
貧富の差は洋服や足元に出ます。
この作品では「毎日ランニングシャツ」。
からかわれるシーンを観て、自身の子どもの頃を思い出し、途方もなく胸が痛みました。
良い映画は「身につまされるもの」だと再確認。

そして、こちらの作品、俳優陣が最高なのです。

第一に、草彅剛の出演作にハズレなし。
抑えたナレーション、ラストの笑顔が最高でした。

何より、竹原ピストルの素晴らしさ。
どこか抜けていて、ガサツで怖くて、でもたまらなく優しい昭和の父親を好演。
自身の父親を思い出し、ジーンとしました。
こういう役をやらせたら日本一ではないかと。
(首からタオルをかけている様が日本一似合う)

尾野真知子、岩松了にも痺れました。
どう見ても長崎の田舎の住人という佇まい。
「おとなのキレ方」が何とも懐かしく。
あ、よく考えたら、好きな俳優ばかりでした。
そりゃ、感動もするはずだ。

言うまでもなく、主人公の子役ふたり。
とても素朴で、とても自然で、没入できました。
素晴らしかった!

本当に良い作品でした。
私の中では『野球部に花束を』と甲乙つけ難い。
今年は映画の当たり年です。

f:id:hunsaisya1:20220911232005j:image