【そして僕は途方に暮れる】面白くなってきやがったぜ!
少し前に観てきました。
現実逃避型エンタメとはよく言ったもので。
主人公が、とにかく逃げる、逃げる!
ちょっとした問題すら、一切、向き合わず逃走。
逆に清々しくなるほどのダメっぷりでした。
次々に遭遇する問題というのも、そこそこ重くはあるけれど、闇に堕ちるような危うさはなし。
安心してダメっぷりを堪能しました。
驚いたのは、父親役の豊川悦司。
主人公とは異次元のダメっぷりに度肝を抜かれました。
無気力、パチンコ、タバコ、なぜか達観。
でも、憎めないユーモアがあって。
話す言葉は、浅くもあり、哲学的でもあり。
「面白くなってきやがったぜ」は名言中の名言!
(このセリフを言って何もしないという流儀)
不思議と懐かしさを覚えました。
団地住まいだった子どもの頃、こんな大人がもっとたくさんいた気がします。
主人公の藤ヶ谷太輔も素晴らしかった。
何でもジャニーズのアイドルだとか。
その片鱗を微塵も感じさせないダメっぷり。
人を騙すとか、エゴが強くて自滅するとか、そういう類のダメさ加減ではないんですよ。
ただただ、困ったら失踪するという。
最後の鼻水垂らすシーンは最高だったなあ。
もう少しテンポが速ければ、なお良かったのですが。
このあたりが「舞台の映画化」の難しさでしょう。
ただ、ラストのカタルシスはなかなかのもの。
観て損はない作品ですね。
鑑賞後、劇場から出てすぐに貼ってあったポスターが『仕掛人・藤枝梅安』。
主演は豊川悦司。
腰が抜けそうなぐらい驚きました。
怪優です。