粉砕者の日記

昔ながらの観光地、プロレス、寄席、映画、職人芸、人間の業、怪しいモノに目がない団塊ジュニアの日記

【ベルファスト】紛争とノスタルジー

アカデミー関連で興味を持ち、観てきました。
1960代末の北アイルランドが舞台。
日常の暮らしが少しずつ壊れていく様子を「子どもの目線」から描いた、とても硬派な作品です。

観終わった感想は「映画を観たー!」。
モノクロなのに美しい映像、登場人物の喜怒哀楽、そして沁みるラストシーン。
恥ずかしながら、北アイルランド問題のことをちょっとしか知りませんでしたが、描いているのは「家族と故郷」なので、十分に楽しめました。

どんな環境でも、どんな時代でも、子どもたちは元気に遊んで悪さもするし、夫婦は揉めても仲直りするし、お母さんは温かくて厳しいし、お父さんはカッコいいし、おじいちゃん&おばあちゃんは底抜けに優しいし。
でも、長屋的なアパートの隣近所まで家族のように付き合うという関係性の濃さは、もしかすると60〜70年代で終わったかもしれません。

映画を観ながら、子どもの頃に住んでいた九州の団地の様子が何度となくフラッシュオーバー。
たまらない郷愁に駆られました。
私の祖父も炭鉱で肺をやられ、父は建設業の職人だったこともあり、途方もなく身につまされる作品でした。

おじいちゃん&おばあちゃん役の俳優が、とにかく素晴らしかったなあ。
ラストシーンにとにかくジーンとしました。

政治的な対立が故郷を壊していくという、社会派の分厚い作品なんですけどね。
私は「昭和的ノスタルジー」で観てしまいました。
良い映画でした!

f:id:hunsaisya1:20220404224627j:image